返品管理表を作成しよう
エクセルの計算方法で、もっとも利用頻度の高い集計方法は『合計』です。
合計を求めるために用意されている『SUM関数』を利用すると、範囲選択するだけで合計が求められます。大量データでも、SUM関数を使えば簡単に合計が求められます。
また、SUM関数はツールバーに[オートSUM]ボタンとして用意されているので、ボタンクリックだけで合計を瞬時に求められます。
今回は商品の返品管理表を使用して、合計や累計をSUM関数で求めていきましょう。
また、返品率を求める際には『絶対参照』を使用し、数式の作成方法をマスターしていきましょう。
▼ 図1-1 今回使用する関数
ボタンでSUM関数を設定してみよう
[オートSUM]ボタンを利用すると、複数範囲の合計を一発で求めることができます。
ボタンをクリックすると、自動的にSUM関数が挿入され、合計範囲も選択されるため確定するだけでOKです。合計範囲はドラッグしなおすことで変更も可能。また、複数の合計をまとめて求めることもできます。
▼ 図2-1 [オートSUM]ボタンで合計を求める
1. “関東エリア”シートの見出しをクリックする
2. 合計を表示させたいセルD10を選択する
3. [オートSUM]ボタンをクリックする
4. 自動的に合計を求める数式「=SUM(D4:D9)」が入力される
5. [Enter]キーを押して数式を確定すると、合計が表示される
《Excel 2007の補足》
また、複数セルの集計も一回の操作でまとめて求めることができます。
合計するデータと結果を表示させたい領域を選択し、[オートSUM]ボタンをクリックします。▼ 図2-2 複数の集計を一回の操作で行う
1. セル範囲C4からD10を範囲選択する
2. [オートSUM]ボタンをクリックする
オートカルク機能
数式や関数を設定する前に計算結果を知りたい場合は、『オートカルク機能』を使うと便利です。
① 計算結果を知りたいセル範囲を選択する
② ステータスバーを右クリックし、計算方法を選択する
③ 計算結果が表示される
離れたシートの合計を算出する
離れたシートの値をSUM関数で集計してみましょう。
“返品管理”シートに“関東エリア”と“関西エリア”の売上個数と返品個数を集計します。
▼ 図3-1 離れたシートの値を合計する
1. “返品管理”シートの見出しをクリックする
2. 集計結果を表示したいセル範囲C4からD10を選択する
3. [オートSUM]ボタンをクリックする
集計するシートでセルを選択し、数式に「, (カンマ)」を加えます。別のブックに集計したいデータがある場合は、あらかじめそのブックを開き、集計したいデータのあるシートを選択しておきましょう。
▼ 図3-2 1つ目のシートを指定
4. “関東エリア”シートの見出しをクリックする
5. 集計したい値が入力されているセルC4をクリックする
6. 数式バー内の「関東エリア!C4」の後に「,」を入力する
続いて、“関西エリア”シートのデータを選択します。
シートが連続している場合は、[Shift]キーを押しながらシート見出しをクリックすると複数シートのデータを集計できます。
▼ 図3-3 2つ目のデータを選択
7. “関西エリア”シートの見出しをクリックする
8. 集計したい値が入力されているセルC4をクリックする
数式が完成したら、確定します。
ただし、[Enter]キーで確定すると1つのセルにしか数式は入力されないため、[オートSUM]ボタンをクリックして確定しましょう。▼ 図3-4 選択範囲に数式を適用させる
9. [オートSUM]ボタンをクリックする
10. 選択していたセル範囲C4からD10、全てのセルに関東エリアと関西エリアの合計数が表示される
数式入力の基本をマスターしよう
Excelは数式を入力することで多様な計算を可能にしています。Excelでは「=」に続いて、「+(足し算)」「-(引き算)」「*(掛け算)」「/(割り算)」の演算子を使って数式を作成します。
▼ 図4-1 セルに数式を作成する
数式のコピーを行うと、セルの値は相対的に参照されて参照先が1つずつずれます。これを『相対参照』といいます。
しかし、全体の構成比などを求めたい場合、各データを同じ合計値で割る必要があるため、数式のコピーを行うと参照先の合計セルがずれてしまい、正しい答えが求められません。
▼ 図4-2 セルに数式をコピーする
コピーをしても参照セルがずれないように固定するには、『絶対参照』を使います。絶対参照を設定した数式には「$」の文字が追加され、コピーを行っても常に同じセルを参照します。
下図の例では、「=D4/D10」のD10セルに絶対参照を設定し、「=D4/$D$10」としました。
コピーした数式は「=D5/$D$10」、「=D6/$D$10」???というように常にD10を参照するため、正しい値を求めることができます。
▼ 図4-3 絶対参照を使った数式をコピーする
また、「D$10」というように「行のみ」「列のみ」を固定する『複合参照』を使うこともできます。
絶対参照、複合参照は「$」を直接入力するか、[F4]キーを押すことで設定できます。
[F4]キーを押す回数で、参照方法を切り替えることができます。
また、累計を求めたい場合などはSUM関数に絶対参照を利用します。SUM関数の合計範囲を指定する際に、先頭セルに絶対参照を使用します。これにより数式をコピーしても、先頭セルは固定されたまま最終セルのみが拡張されるため、累計を求めることができます。
▼ 図4-4 絶対参照を使って累計を求める
絶対参照を使って計算しよう
絶対参照を利用して、月ごとの返品率を求めてみましょう。月ごとの返品数を全体の返品数で割って求めます。
▼ 図5-1 返品率を求める
1. 返品率を求めたいセルE4を選択する
2. 「=」を入力し、1月の返品数が入力されているセルD4をクリックする
3. 「/」を入力し、返品数の合計が入力されているセルD10をクリックして[F4]キーを押す
4. [Enter]キーを押して数式を確定する
残りの月の返品率もオートフィル機能を利用して、数式をコピーします。
コピーした数式を確認すると、セルD10で割り算されていることがわかります。
▼ 図5-2 数式をコピーする
さらに絶対参照を利用して、返品数の累計を求めてみましょう。
▼ 図5-3 絶対参照を利用して、累計を求める
1. 累計を求めたいセルF4を選択する
2. [オートSUM]ボタンをクリックする
3. セルD4をクリックし、「:」を入力する
4. SUM関数の引数が「D4:D4」となるので、一方を「$D$4」と絶対参照にする
5. [Enter]キーで数式を確定する
残りのセルに数式をコピーし、返品数の累計を求めましょう。
コピーした数式を確認すると、先頭セルからセル範囲が拡張されていることが確認できます。▼ 図5-4 累計を求める